「 見てください 」




   こころに浮かぶことばを  
   漫然と書きちらして  
   それがなんだというのだ  
  
   こころが垂れ流すことばに  
   みさかいもなく媚び甘えて  
   それがどうだというのだ  

   見えるものを見ているだけじゃないか
   見ているだけでなにひとつ見ようとしない
   見ようとしないからこそことばに寄りかかる

   見ることはたやすいわざだと 
   いつから誰の尻馬に乗ってしまったのか
   そんなものにくっついているものがことばだと信じているのか

   そんなすかすかの符牒あわせで
   どの扉を開けたと言い張りたいのか
   開いた扉がいったいどこにつながっていると考えているのか

   つぎはぎだらけの背景が広がっているだけじゃないか
   ことばはすでにことばの比重を保てない
   ことばはことごとくのっぺらぼうな相貌で嗤笑している

   それはもはやことばじゃないじゃないか
   それはおれを打ち据える石じゃないか
   それはきみを追放する礫(ツブテ)じゃないか

   見たいものだけで己を飾ろうとみつくろって
   その装いの迷路に閉ざされ
   怯えているちっぽけであわれなこころ

   まにあわせのまだらな背景にさまよいでても
   沈む景色で視界は遮(さえぎ)られるばかり
   見ることとは見えることじゃないと初めて気づいたとき



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by gerige-poem | 2018-10-19 08:59 | | Trackback | Comments(0)

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